内海 健

定価: ¥ 1,890
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発売日: 2006-07
発売元: 勉誠出版
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現代の「すべての」うつ病患者さんに向けて書かれた本
今日、鬱は昔よりも「軽症化」しつつあると言われているのに、実際には、昔の鬱病の患者さんの方が、きちんとした服薬や休養生活(場合によっては入院)を経れば、長くても数ヶ月以内に社会復帰できる人がずっと多かったということを、さまざまな精神科医の先生が指摘している。
鬱になる人の病態のマジョリティー(多数派)自体が、時代と共に変質してきている可能性を多くの専門家が認め、「新型うつ病」「非定型うつ病」などという言葉が繰り返しマスコミに載るにも関わらず、古典的な「メランコリー型」うつ病ではない人たち(本書で取り上げられている「双極性2型」以外にも、「気分変調性障害」「双極スペクトラム障害」などと診断される方たちを含む)に対する少なからぬ医者の取り上げ方は、どこかしら「近頃の若い者は・・・・」的なノリで、そうした人たちの「性格の問題」という言い方が安易に振り回される傾向があるように思えてならない。
しかし、それは実は根本的な認識不足なのではないか?
結局、医者の側が時代の変遷についていけていないことの「逃げ口上」ではないのか?
そうした問題提起をする上で、この著作以上に強力な著作は、刊行3年めにして、まだ現れていないように思われてきた。
古典的な「メランコリー型」うつ病は、実は第2次大戦敗戦国である日本と「西ドイツ(!)」において、戦後の復興を経て高度経済成長期に入るという、固有の経済発展様式を取らざるをえなかったために、結果的に、1970年代まで、他の欧米諸国よりも「遅延されて」残存した、実は「オールド・タイプ」のうつ病のあり方であるに過ぎず、現在ではこれらの国でも、主として中年以降の世代にのみ残存している病態であるに過ぎないのではないか?
・・・著者ははっきりそこまで言い切ってしまっている。
(古典的)鬱病者における病前性格としての「メランコリー親和性」ということをはっきりと打ち出したのは、ドイツのテレンバッハという精神病理学者である。ところが、今日では臨床家の間で基本教養の一部というべきこのことをテレンバッハが著作「メランコリー」ではっきりと書いたのは、何と1961年という、思いもよらないくらいに最近の(・・・・などと、1960年生まれの私だと書いてしまう)ことなのである!!
もっとも、1961年といえば、西ドイツも日本も、西側陣営の中で、まさに目を見張る勢いで高度経済成長していた渦中に他ならないではないか!!
「この時代の」「西ドイツにおける」精神科現場臨床におけるうつ病患者の診療の治療の膨大な蓄積の中で、テレンバッハが提唱し、ドイツで、日本で、そして欧米で幅広く受容されるに至ったのが、「メランコリー親和性格」仮説なのである。
この本は、単に、DSMという診断基準が指し示す、狭い意味での「双極性2型」障害についての著作などでは決してない。
恐らく、通常のうつ状態と診断されている患者さんたちの多くが読んでも、深く共感する内容に満ち溢れているはずだ。
実はその点にこそ、この著作の只ならぬ奥の深さがあるのである。
わたしも双極性2型です。
もし、わたしが精神科医になろうと努力している医学生であったら、、、
医師になる前にぜひこの書籍を熟読していたいと思った。
しっかり読み込んでいくタイプのとても学術的な内容であるので、
現在、うつや双極性2型のうつ状態の方が読むのには、少し体力的に大変かと思います。
わたしは、うつ状態と軽躁の狭間のコンディションが落ち着いている時に何度かに分けて読み切りました。
他の方もレビューで書かれているが、
副題の「精神科医からのメッセージ」はむしろ「精神科医へのメッセージ」にするべきだと思う。
ぜひ、精神科の医師に通常のうつ病と同じくらいのウェイトで双極性2型という病気も
知っていただきたいと思います。
双極性2型の当事者として読み、この病気の実態を自分自身で理解し、以前より消化できるようになりました。
また、この病気の苦しさや孤独さを本書を通して他人に少し分かってもらえた気がして、心が落ち着くことが出来ました。
双極性2型の当事者だけでなく、人の心の不思議さに興味のある多くの方に読んで頂きたい一書です。
とても興味深かった
同僚(先輩)の先生から薦められて読んでみた。読後とても感慨深いものがあったので少し書いてみたい。
著者の主張は以下の1)?4)にまとめられる:
1)気分障害の中核症状は同調性の障害だ
2)気分障害の最初の症状あるいはコアの症状は実は混合状態だ
3)単極性のうつ病とは病前性格が気分障害により崩れて次第に人格変化がゆるやかに進行するもののことだ
4)その時代特有のうつ病の症状がありうる。それはその時代その時代に人々が「こういう生き方こそが人として優れたあり方に違いない」と考え信ずる心性のことで、かつての日本では「“秩序と正義と勤勉と自己犠牲”を至上徳目とした」執着気質あるいはメランコリー親和型性格だったが現在は「積極的でいつも元気で誰とも仲良く誰にでも親切に活発に生きること」に変化した。著者はこの性格傾向のことをBPU親和型性格と提唱する。
この主張において1)はそう目新たしくもない。ミンコフスキーがそもそも気分とは同調情動性で感情とは葛藤情動性であると定義した時に、うつ病や躁鬱病を「気分が障害される気分障害だ」と定義した時にそれらの疾患は同調性の障害であると定義したということにもなるのだから。
でも2),3),4)の視点は実に新鮮だった。何かいままでモヤモヤしてていたものが取れたような気分になった。著者にありがとうと感謝したい。