町山智浩

定価: ¥ 1,000
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発売日: 2009-02-25
発売元: 集英社
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アメリカンスポーツショートエッセイ
著者の本は初見だが、上手く映画とスポーツを絡ませて、短文を書き上げている。
題名の「ステロイド」に惹かれて読み始め、すぐに米スポーツ界の宿痾と言うべき、ストロング願望に基づく薬物使用の現状ばかりを集めた本でないことは分かったが、1つ1つが『奇跡体験!アンビリバボー』で放送されるようなエピソードで、爆笑、賞賛、感心などが入り混じって展開され続けるので、最後まで楽しんだ。
四肢欠損でアマレスチャンプになった少年、時速560KM/Hも出るバイクで、488Mの峡谷を飛び越えようとしたスタントライダー、南部貧乏白人運動会など、アメリカだからこその“偉人”が出てくる土壌に、画一化された日本に住む者として羨ましさも持った。
米メディアまたはネットにネタはありそうだが、それは詮索しないでおこう。
46もの話題をエッセイに仕上げ、まとめた著者には、是非TV特番の構成作家をやってもらいたい。
ほどほどにしましょう
「はじめに」に出てくる映画『ビッガー、ストロンガー、ファスター』の紹介がいきなり衝撃的だ。
<「シュワルツェネッガーは一文なしのオーストリア移民だったが、筋肉で成功し、州知事までなった。アメリカンドリームだよ」
『ビッガー、ストロンガー、ファスター』で、ひとりのボディビルダーがそう語ります。彼は20年前、映画『オーバー・ザ・トップ』(87年)でシルベスター・スタローンと腕相撲を演じた男です。彼は50歳を過ぎた今も身体を鍛え続けています。でも定職はなく、家もなく、自動車に寝泊まりしています。ジムでたまにボディビルのコーチをした収入は全部ステロイド剤に消えていきます。彼には筋肉以外に何もありません。
ちなみに、この映画の副題は「アメリカ的になることの副作用」といいます。>
アメリカを特徴付ける要素はいろいろあるが、過度の肉体信仰というのはそのひとつである。「過度の」というのは日本人から見るとそう見えるだけで、やっている本人たちは真剣そのもの。いろいろなことをエスカレートさせたらアメリカは間違いなく世界一でしょう。中庸はあまり美徳ではないのだろう。孔子先生が見たら何というだろうか。
ほかにも、ホセ・カンセコはステロイド打ちすぎて金●●が縮こまってた、とか、過激化しすぎたプロレス業界では毎年死者が出ている、とか、『ロッキー』の生卵一気飲みの元ネタ、とか、三面記事的な情報が豊富。そういう瑣末な記事からアメリカのリアルな姿を写生していく町山さんの腕前は相変わらず見事です。
アメリカのスポーツの影、現実と感動のショートエピソードがいっぱい。
プロスポーツを志す者には残酷な話や、アメリカ人のスポーツに過剰な入れ込み様の話や、某局の「感動のアンビ、、、」に紹介されそうな話まで、幅広い話があり、アメリカンスポーツに興味ある私にはいろんな意味で参考になる本でした。