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うつ病―まだ語られていない真実 (ちくま新書)

うつ病―まだ語られていない真実 (ちくま新書)
岩波 明
うつ病―まだ語られていない真実 (ちくま新書)
定価: ¥ 756
販売価格: ¥ 756
人気ランキング: 133705位
おすすめ度:
発売日: 2007-11
発売元: 筑摩書房
発送可能時期: 在庫あり。

自殺大国日本の真実…。
本書の内容はプチうつなどと軽々しく表現されるようなものではありません。
一精神疾患(パニック障害)の妹を持つ私にとっても大変にセンセーショナルで
ショッキングな内容でした。

リストラ、失業などに遭った中高年男性が自宅マンションなどの多額のローンや借金を抱え、
生活苦の果ての自殺や、未遂、一家心中。
誰もがうらやむ裕福な家庭の奥さんの妄想うつ病の夫殺害事件。
30代女性が離婚の末に子連れ心中を図ろうと放火。父親、祖母、子供二人を殺害等々。

うつ病患者でここまで…と思う程、たくさんの悲惨な事件が掲載されていて驚きました。
と共に早急に入院や適切な投薬治療が必要な場合にありながらミスをおかす
精神科医の多さにも憤りを感じました。
そうした治療が施されていれば防げたはずであり明らかに医師のミスと著者も明言しています。

そして投薬治療を反対する生田哲氏やその他の学識者に対しても批判されています。
座禅や呼吸法などで治癒するようなたやすい病気ではないのであると。


第六章は『自殺者の国』と題されています。
旧ソ連に続き先進国の中でも突出して自殺率の高い国『日本』。
年間3万人超、一日80人以上の計算になるそうです。
著者の別書にありましたが、
『日本という国で生きていくということは大変なことである。』

当事者、ご家族の方はもちろんまた身の回りにうつ病を罹患されている方が
おられなくてもいつ我が身に降りかかるかもわからない病気であると
認識して読んでいただきたい本であると思いました。



うつ病(気分障害)への偏見を招く恐れ
著者の、うつ病(気分障害)は、心の風邪などという生易しい病ではない。下手をすると、命に関わる危険な病である…と言った趣旨は、正しいと思う。だからと言って、新聞や週刊誌の記事になる様な悲惨な事件(自殺・無理心中など)を次々と取り上げ、その根拠とするのは、いたずらに、かつてあったような精神疾患への偏見をあおり、それこそ「危険」であると思う。「うつ病(気分障害)は、心の風邪」と言ったキャンペーンが張られたのは、この病が、早期に治療開始すればするほど、また、早期に回復するものであるからであり、精神神経科への敷居を下げる上で大変効果があったものと考える。著名人のカミングアウトが続いたのも、この傾向を後押しした。著者は、最近特にこうしたセンセーショナルなタイトル・目次・内容で次々に出版物を出しているのが気になる。しかも、告発ばかりで、解決に向けた提言は投げ出してしまうのである。いったい著者は、これらの本を手にした人々の、患者の、その家族の…思いを想像したことがあるのだろうか。特にこの本はメインのタイトルが「うつ病」とだけあり、全くこの病の知識がない人々が手に取る可能性が高い。精神神経科のプロであるならば、上記の点にも「神経」を使って欲しいものである。

もっともな意見だとは思うが少なくとも軽症うつ向きではない。やや露悪的だ
最近増えている「うつ病」は、うつ病なのかそうではないのか……
そういう議論は多い。私はその議論そのものにあまり意味を感じないのだが、
いずれにしてもこの本は、いわゆる「軽症うつ」向きの本ではない。
ある意味で「狂気」とも言える行動に走ることもあるうつ病――
軽症うつを「本物のうつ」ではないと言った人もいるが、その論法でいうと
「本物のうつ」について、やや過激なタッチで、時に露悪的に書かれている。

要するに「心の風邪などもってのほか。うつ病は死に至る病だ」というわけである。

その通りだとは思う。しかしうつ病には実にさまざまなパターンがある。
気分障害とうつ病の境界線をはっきり引ける人が、果たしているだろうか。
取り上げられる事例も過激である。
統合失調症ではないかと思える「妄想性うつ病」など、かなり「怖い」話ばかりだ。
たしかに、あまりに気軽に「今日ちょっとうつでねえ」などと言われ始めて、
本書で書かれているような、うつ病の一面の真実がかすんでいることは否定しない。

その意味ではサブタイトルの「まだ語られていない真実」は、偽りはない。
だが帯にある「うつ病にまつわるウソを暴く!」はどうだろう?
「今日ちょっとうつで……」という人も、何らかの「うつ的病理」を抱えていないか。
甘えもあるかもしれないが、「それはウソだ」と切って捨てるのは、
あまりに「優しさ」がないのではないか。

たしかにある一面の「本当のこと」はわかる本だ。
しかしなぜか読後感が悪い……。☆3つ半、といったところか。

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